2011年5月21日土曜日

「COPDで在宅酸素6L 鼻水が 多く苦労しています」という問い合わせ

今日は医療ネタです。

現在の職場に転職して早5年以上が経過しました。
当院が在宅人工呼吸器や慢性呼吸不全、睡眠時無呼吸の
治療に力を入れていることが定着し、色々な問い合わせを
頂きます。

「問い合わせ」への対応は、直接医院の収入に繋がることでは
ありませんが、困った時はお互い様です。
さらに、将来長い目で見たときに 地域医療連携の中で
お世話になるかもしれません。

と、いう事で 電話やメールでお問合わせ頂いた案件は
極力ご協力させて頂いています。

で、タイトルにあるような相談がありました。
もちろん、当院が関係していない患者さんです。
患者情報の詳細が分からないことが多いのですが、
私の立場でできる一般的な回答をさせて頂きました。

一般的な回答なので、差支えない範囲でそのまま転載。

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��OPDで在宅酸素6Lとのことで、だいぶ病状の重い方なのですね。

私が体験している感じからすると、COPDで鼻水が多い人の場合、
・酸素流量が多く、鼻カニュラからの高流量が刺激となっている
・蓄膿症があり未治療
・アレルギー体質(花粉症など)
こんなところでしょうか。

早速ですが・・・・

○酸素投与方法の確認
頂いた情報の中で一番疑わしいのは、酸素投与量の方法です。
酸素流量が6L/分とのことで、鼻カニュラでしょうか? 
酸素マスクでしょうか?
酸素濃縮器には蒸留水や精製水を使用して加湿していますでしょうか?

もし鼻カニューラであれば、高流量の酸素が鼻腔を刺激している
可能性があります。
鼻カニューラから酸素マスクにすることで酸素流量を抑えることができ、
鼻への刺激を抑えることができるかもしれません。

酸素療法ガイドラインによると

鼻カニュラで酸素流量 6L/分  吸入酸素濃度44%

酸素マスクで酸素流量 6L/分  吸入酸素濃度40%

ほぼ吸入酸素濃度は変わりません。
厳密に記載すると、在宅酸素の場合 酸素濃縮器から出る酸素濃度が
94%程度です。
病院の酸素配管からはほぼ100%の酸素濃度が供給されることを考えると
自宅での酸素療法では「吸入酸素濃度が若干低い」と考えられます。

鼻カニュラを使用している場合には、酸素マスクへの変更をご検討下さい。
既に酸素マスクをご使用中の場合には、以下の項目をご参照下さい。

○蓄膿症の有無
もし蓄膿症がある場合には、鼻水の原因となっているかもしれません。
蓄膿症の有無をご確認下さい。


○アレルギーの有無
一般的なことなのですが、現在は杉花粉は峠を越えています。
まだヒノキが飛んでいると思われますが、自宅にこもっている場合では
ハウスダストやダニのアレルギーが疑われます。
一度主治医の先生とご相談頂き、採血によるアレルギー抗体を調べることも
ご検討下さい。


○空気清浄器
採血でアレルギー反応があった場合は、抗アレルギー薬の内服を
検討頂くことになるかと思います。
室内の環境を改善することで、鼻水症状を軽減できることもあります。
ずばり、空気清浄器です。
少しお値段がかかりますが、ハウスダストやダニのアレルギーを持っている
場合には空気清浄器の効果は抜群です。


○使用薬剤の変更
現在点鼻薬をご使用とのことですが、鼻カニュラからの高流量の酸素が
刺激になっている場合は
酸素マスクに変更を試して頂くとして・・・既に酸素マスクを使用されており
、鼻水が多い場合には点鼻薬だけでなく、抗アレルギー薬による
内服を併用されると良いかと思います。
内服に関しても主治医の先生とご相談下さい。



��OPDで吸入酸素濃度が40%を越えていることから、
��aCO2の値が気になるところです。
既にNPPVはされていますでしょうか。
吸入酸素濃度が高いので、CO2ナルコーシスが心配になります。
鼻水の問題が解決したことが原因で、
しっかり呼吸ができ、高濃度酸素を吸ってしまい
��O2ナルコーシスに・・・ということが無いようにお気をつけ下さい。

何か気になることがありましたら、遠慮なくお問合せ下さい。

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送ったメールのコピペなんですが・・・


直ぐに返信のメールが届き、鼻カニュラとのことでした。
主治医の先生と相談するとのことでした。

良いケアに繋がればいいですね。

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